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全部の起点はシャグだ
1960年代末、NYで考案されたシャグカット(shag)がすべての原型だ。毛先に向かって細くなるようにシザーをスライドさせて段差と軽さを同時に作る技法で、シルエットとしては全体に丸みがあって顔周りから毛先にかけてふんわりと広がるイメージ。70年代にミック・ジャガーやロッド・スチュワートが愛用して世界に広まった。ヴィダル・サスーンのアートディレクターとして60〜70年代のヘアデザインの革命を担った人物たちもこの時代の重要な担い手だ。今のウルフも、バタフライも、技法の根っこにシャグが生きている。
ウルフとマレット——よく似た別物
ウルフカットは「トップ短め・サイドにもレイヤー・襟足に長さを残す」逆V字シルエット。サイドにレイヤーが入るから全体的にグラデーションが続く流れのあるスタイルだ。一方マレットは「フロントとトップはショート・サイドは刈り上げに近い・襟足だけ長い」という極端な切り替えが特徴で、いわゆる"前:ビジネス、後ろ:パーティー"の形。ウルフが「段差のある流れ」なら、マレットは「ツートーンの対比」だ。この違いを理解してないと、客のオーダーを間違って捉えることがある。
ハッシュはウルフの韓国進化系
ウルフより段差を抑えて、シルエットに丸みを持たせたのがハッシュカット(hush cut)だ。名前の通り"hushed(落ち着いた)"なウルフって感じで、BLACKPINKのJENNIEやaespaのカリナが着火させた韓国発スタイル。「ウルフほどハードじゃないけど、普通のレイヤーより動きが欲しい」というニーズにドンピシャ。ウルフがトップと裾のコントラストを強調するのに対して、ハッシュは重さと軽さのバランスを重視する。顔周りのくびれレイヤーは入れるが量は控えめで、万人受けするシルエットに仕上がる。
バタフライは顔周り特化の最新型
シャグ・ウルフ・ハッシュが全体のシルエットを変えるのに対して、バタフライカットは「顔周りのレイヤーに特化」したスタイルだ。顔を囲むように細かくレイヤーを重ねて、蝶が羽を広げたようなシルエットを作る。表面だけでなく内側にもレイヤーが入るのが他のスタイルとの大きな違いで、小顔効果は5つの中で最も強い。リバース巻き(外巻き)で顔周りを後ろに流すスタイリングが決まると、シルエットが一気に映える。丸顔・ベース型のお客さんへの提案として今一番出番が多いスタイルだぜ。
まとめ:5つのシルエットを頭に入れておけ
シャグ(全体の丸み・技法の原点)→ ウルフ(逆V字・サイドにもレイヤー)→ マレット(ツートーンの対比・サイド刈り上げ)→ ハッシュ(ウルフの落ち着いた進化系)→ バタフライ(顔周り特化・小顔最強)。この5つは「レイヤーが入る」という共通点はあっても、どこに段差を作るか、シルエットのどこにメリハリを置くかがそれぞれ全然違う。お客さんから「なんかトレンドっぽいやつで」って言われたとき、この5つの違いを頭に入れてヒアリングできると提案の幅が一気に広がる。名前に惑わされず、シルエットで考えるのが美容師としての正解だ。
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